「虫よけの木」として知られている「楠(くすのき)」。
独特な芳香を持つことから「臭し(くすし)」や「薬」が「クス」の語源となったといわれています。オランダ語でカンフルといい、医薬品・香料・セルロイドの原料など、古くより世界中で様々な用途に使われてきました。
クスノキの持つメンソールやユーカリのような清涼感あふれるさわやかな香りは、虫を寄せ付けない効果があることから、昔から防虫として使われてきました。楠の木片を水蒸気蒸留で抽出し結晶化させたものが、「樟脳」といわれる天然の防虫剤です。揮発性に優れているので衣装ケースから出した時は樟脳の香りがしっかりとしますが、空気や天日にさらせば香りがなくなります。化学物質などが含まれないので、環境にも敏感な方にも優しい防虫剤です。
かつては専売品として国益の一役を担うまでの産業だった天然樟脳ですが、安価な合成防虫剤の普及や需要の減少から、現在生産しているのは数社のみになっている大変貴重なものです。
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